天然実録06 電話対応
新入社員だった時だ。同期に天然がいた。以下Tとする。
その職場はよく電話がかかってくる。あまりに電話が多いので職員ひとりずつに受話器の子機が配布されるほどだった。
電話対応は新人の重要な仕事だ。自分宛ての電話なら普通に出ればいいのだが、厄介なのは他の人に向けた電話を取った時である。外回りなどで当人が不在の時は、要件を受けて本人に伝達しなければならない。
ある日、同期Aが昼食を買いに席を外しているときにAの電話が鳴り、最初に彼の子機を手に取ったのが天然Tだった。
T「はい、代理で電話を受けたTでございます。」
T「Aさんですね。ただいまAさんはいないであります。」
T「はい、帰ったら折り返すように伝えます。ありがとうございました。」
いないでありますって、警察官かよ。
本官は警察官であります。
留守にしていますとか、席を外していますとか、言い方はあろうものだが、まさかの発言に思わず笑ってしまった。
あと個人的に好感度が高かったのは、ありがとうございましたの時に深々とお辞儀をしていること。テレビ電話ではないのでお辞儀が向こうに伝わることはないのだが、その心意気やよしだ。そういう誠実さが愛され要因なんだろうと思う。
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