天然実録03 サンドウィッチマン
Tは天然だ。少なくとも周りの友達はそう思っていた。本人は違うように考えていて、「漫才ならどちらかというとツッコミ」と発言して周囲の猛反発を受けたりしていた。まあ本人だけ自覚がないというのはよくある話だ。
Tはちょっと常識に疎いところがあって、1年前までサンドウィッチマンを知らなかった。お笑い好きな友人に紹介されてサンドウィッチマンの漫才「ハンバーガーショップ」を見たTはいたく感動し、それからしばらくサンドウィッチマン動画を見まくった。寝る時も起きる時も見た。ふとした時に思い出し笑いをするくらいに見た。
1年後、Tは友達と旅行に出かけた。旅行はTが公園のシーソーで遊んでいたらメガネをなくしてこのままじゃクルマの運転ができないと困っていたところ親切な親子連れが届けてくれた程度の小さなトラブルはあったものの、総じてつつがなく順調であった。
立ち寄り湯に寄った一行は帰り道にとりとめもない雑談をしていた。誰かが誰かと付き合っているらしいとか、誰かのボケはちょっとスベっているとか、そんな話だ。そんなときDが尋ねた。
D「Tは以前自分はツッコミだと言っていたけど、最近はどうなの?」
T「うーん、最近はどちらかというとボケかな。」
D「あっ、そうなんだ。」
D(ついにTも自分が天然なことに気づいたか。)
T「最近サンドウィッチマンにハマっていてね、あれはとても面白いね。」
D「うん、そうだね。」
T「中でも富澤のボケは素晴らしい。だから富澤に匹敵する秀逸なボケができたらなと思うんだ。」
D「……」
Tはそのままでいいと思うよ。
こと天然の自覚において、本人の認識と周囲の認識を一致させるのは難しいことのようです。
おまけ - サンドウィッチマン
2人組のお笑いグループ。メンバーはボケ担当の富澤とツッコミ担当の伊達の2人。お店の店員と客という設定で漫才をやることが多い。
店員役の富澤が伊達の演じる客の前で怒濤のボケをかます「ハンバーガーショップ」は特に面白い。
伊達「じゃあビックバーガーセット」
富澤「ビックバーガーを1000個」
富澤「それでは厨房の方を振り返ります。」
伊達「注文繰り返せよ。」
軽快で笑えるネタがてんこ盛りだ。
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